正解は分からない。考え続ける介護。

01|生きていくために飛び込んだ仕事が、いつしか自分の道に。
――医療や介護の仕事に携わるようになったきっかけを教えてください。
最初から医療や介護を志していたわけではありません。最初の接点は、知り合いの所長さんに声をかけられ、半日型の機能訓練施設で送迎や見守りを手伝ったことでした。
その後、離婚をきっかけに一人で生計を立てるため、未経験・無資格で始められる看護助手として病院へ。最初は医療用語も分からず悔しい思いもしましたが、本を買って必死に勉強しました。少しずつ患者さんの状態やケアについて話せるようになると仕事が面白くなり、主任を任され、11年ほど働きました。
――そこから、なぜ介護の道へ?
患者さんと向き合う中で、介助にも知識や技術が必要だと感じ、介護福祉士を取得しました。病院では、施設から搬送されてくる方の記録を見て「施設ではどんな暮らしをしていたんだろう」「もっと早く変化に気づけなかったのかな」と思うことがあり、病院へ来る前の暮らしや支援への興味が、ケアマネジャーを目指すきっかけになりました。
試験は4回目で合格。50代・ケアマネ未経験での転職は簡単ではありませんでしたが、面接してくれたのがふれあい広場でした。その時の面接官だった希の管理者の方が、利用者さんのことを自分事のように語る姿を見て、「利用者さん本位で考えている人なんだな」と感じ、この人と働いてみたいと思ったんです。
02|「尊厳」という言葉だけでは、割り切れない

――介護で大切にしていることを教えてください。
介護では「その人の尊厳を大切にする」とよく言います。もちろん大切ですが、簡単に「尊厳を守る」と言い切るのは難しいと思っています。
病院では、ご本人が延命治療を望んでいなくても、いざという時にご家族が「助けてほしい」と望む場面を何度も見てきました。本人にも家族にも思いがあり、どちらか一方だけの気持ちを考えることはできません。その中で、一番良い方法を考え続けるしかないと思っています。
以前、普段あまり言葉を発しない利用者さんが、突然頭を押さえて「痛い」と声を上げました。救急搬送が必要だと感じましたが、受け入れ先が決まらず、病院と必死にやり取りしました。その後、その方は亡くなられましたが、ご家族から「あなたがケアマネジャーでよかった」と言っていただきました。
今も、その急変した方の目が忘れられません。「何を伝えたかったんだろう」「もっとできることがあったんじゃないか」と考えます。
だからこそ、元気なうちから「これからどう生きたいのか」を本人や家族と話しておくことが大切だと思います。正解は今も分かりません。簡単に答えを出さず、その都度、目の前の人にとって何がいいのかを考え続ける。それが私にできる介護だと思っています。
03|介護は一人ではつくれない

――ケアマネジャーとして、どのように支援を考えていますか?
ケアマネとして働き始めた頃は、教えてくれる人も身近におらず、「辞めたい」と思ったことも何度もありました。それでも続けてこられたのは、現場の職員に助けてもらったからです。
私が意識しているのは、利用者さんが今できていることを、できるだけ残すこと。そのためには、普段の暮らしを知ることが欠かせません。
以前、自宅で生活できていると思っていた方が、実はゴミをうまく捨てられず庭に置いていることを、訪問した職員が教えてくれました。そこで、ゴミ箱を分かりやすくするのか、市の戸別収集サービスを使うのか、みんなで考えました。
できないことを全部代わりにやるのではなく、何につまずいているのかを知り、できることを活かしながら必要な部分だけ支える。そのために、現場の気づきは欠かせません。
希の職員は、報告だけでなく「こうしたらいいんじゃない?」と支援そのものを提案してくれます。また、帰宅願望が強い方に「少しドライブに行ってみよう」と考え、戻る頃には穏やかな表情になっていたこともありました。職員が利用者さんを理解し、自分たちで考えて動ける。それが希の強みです。
――リーダーとして意識していることは?
普段からコミュニケーションを取ることです。くだらない話もします(笑)。普段話していない相手に、困った時だけ相談するのは難しいですから。
個人プレーは好きではありません。「今できないからお願い」と自然に声をかけ合い、気づいたことや提案を言える。そんな関係があるから、チームで同じ方向を向けるのだと思います。
04|近いからこそ、「暮らし」が見えてくる
――希ならではの魅力を教えてください。
一番は、利用者さんと職員の距離の近さです。希は、通い・訪問・泊まりを組み合わせて在宅生活を支える小規模多機能です。施設での姿だけでなく、自宅での様子も知れるから、その人の生活全体を見ながら支援を考えられます。
ワンフロアなので、小さな変化にも気づきやすく、職員の関わり方も見える。私自身、学ぶことも多いです。
――これから、どんな場所にしていきたいですか?
利用者さんに「ここに来るのが楽しみ」と言ってもらえる場所にしたいです。同時に、職員も「こうした方が働きやすい」と遠慮なく言える職場にしたい。職員が気持ちよく働けることが、利用者さんへの良いサービスにつながると思っています。
――最後に、求職者の方へ。
小規模多機能は、施設内の介護だけでなく訪問や送迎もあります。分からないことがあると一人で抱えずみんなで考える雰囲気があります。
利用者さんは人生の大先輩です。近くで関わるからこそ、その方の言葉や表情、歩んできた人生から学べることがあります。
介護には絶対の正解がないことも多い。だからこそ、一人で答えを出すのではなく、みんなで「この方にとって何がいいんだろう」と考えていく。そんな介護をしたい方にとって、希は成長できる場所です。
一人ひとりの利用者さんと近い距離で向き合いながら、みんなで一緒に考えていく。そんな介護に惹かれる方は、ぜひ希で一緒に働きましょう。
