「認知症があっても、その人らしさは消えない。」人生の結晶に寄り添う介護。

1|内気だった私が、「人と関わる仕事」を選んだ理由

――子どものころはどんなタイプでしたか?

子どものころは、とても内気なタイプでした。人と話すことが苦手で、積極的に前に出るような性格ではなかったんです。少しずつ変わっていったのは大学時代。心理学を専攻していたのですが、グループで話し合う授業が多く、同世代の仲間と意見を交わす中で、自分の考えを少しずつ言葉にできるようになっていきました。

—―介護の道に進んだきっかけは何だったのでしょうか?

介護との出会いも、大学時代です。実は最初から介護を目指していたわけではなくて、大学では心理学を学んでいました。当時は大学院へ進学する人が多く、研究の道へ進む人もいました。私はどちらかというと、早く社会に出て自立したいという気持ちの方が強かったんです。

生活面でも経済面でも、自分の力で生きていきたいと思っていました。大学まで行かせてもらったからこそ、親に負担をかけるのではなく、自立したい。だからこそ心理学と並行して社会福祉士の資格取得も目指していました。その実習先が特別養護老人ホームだったんです。

そこで初めて介護の現場に入り、食事介助や排泄介助などを職員の方々と一緒に経験しました。実習へ行く前は、「介護は大変な仕事だよ」と周囲からよく聞いていましたし、親もあまり賛成はしていませんでした。

それでも実際に現場に立ってみると、想像していたような抵抗感はなくて。むしろ利用者さんとの関わりにやりがいを感じたんです。身の回りのお手伝いをすると、「ありがとう」と感謝の言葉が返ってくる。少し手を差し伸べるだけで、こんなにも喜んでもらえるんだと知りました。その経験を通して、「この仕事を続けてみたい」と思うようになったんです。

2|当たり前の日常を守りたい

――そこから、なぜ今のグループホームへ?

14年のキャリアの中で、デイサービス、訪問介護、特別養護老人ホームなど、さまざまな現場を経験してきました。やりがいはありましたが、大人数をケアする施設ならではの大変さもありましたね。たとえ何事もなく朝を迎えられた日でも、精神的にも体力的にも消耗していました。どうしても大人数の方をスケジュール通りにケアする必要があり、「もっと一人ひとりと向き合いたいのに」という思いすらも忙しさの中で流れていってしまう。業務以外にも通勤の負担などが重なり、かなり疲れ切っていた時に見学に訪れたのが「ふれあい多居夢 大宮」でした。

施設に入った瞬間、職員が慌ただしく動き回る様子がなく、利用者さんもとてもリラックスしていて。「お家みたいで好きだな」と感じたんです。当時の上司の人柄にも惹かれ、「この人から学びたい」と思い、一人ひとりと密に向き合えるグループホームへの入職を決めました。

――実際に入職してみてどうでしたか?大切にしている介護観を教えてください。

まず感じたのは、大規模施設とは違う穏やかな空気です。 認知症があっても、その方が歩んできた人生までなくなるわけではありません。長い人生の中で培ってきた価値観や人との関わり方は、その人の中に結晶みたいに残っています。だからこそ、私は一人ひとりの「その人らしさ」を大切にしたいと思っています。

また、年単位で一緒に過ごしていると、その方の「いつも」が見えてきます。「今日は少し座りづらそうだな」「歩き方がいつもと違うな」。そんな小さな変化に気づけるのも、少人数だからこそです。実際に、その違和感から脳梗塞の兆候に早く気づけたこともありました。

私が介護の根本に置いているのは、「当たり前の日常を過ごせることは、本当に幸せなことだ」という考えです。実は私自身、子どものころから体が弱く、入院や治療を繰り返していました。思うように過ごせない時期を経験したからこそ、何気ない毎日のありがたさを強く感じています。

だからこそ、認知症があっても、その人らしい日常をできる限り続けてほしい。その思いが、今の仕事の原動力になっています。

3|何気ない時間に見える、「その人らしさ」

――仕事の中で一番好きな時間はどんな時ですか?

朝の時間が特に好きですね。早い日は朝5時や6時から「おはよう」「まだ早いよ」なんてやり取りをするんです(笑)。

日中も、お皿洗いや掃除をする方、畑に出る方、塗り絵に夢中になる方など、それぞれが自分のペースで過ごしています。全員が同じことをするのではなく、自分らしく過ごせるように、一緒に生活をつくっている。そういう時間の流れが好きですね。

特に好きなのは、利用者さん同士で楽しそうに話している時間です。会話が噛み合っていないこともあるんですけどね(笑)。その空間はとても温かいです。

だから私は、そうした何気ない日常を写真に残すことを大切にしています。普段あまり笑わない方がふと見せる笑顔や、利用者さん同士で談笑している瞬間。そういう何気ない日常の一コマを撮り、施設から半年に一度発行している「ふれあいだより」に載せ、ご家族へお届けしています。「こんなふうに過ごしているんですね」と喜んでいただくことも多く、そういったご家族とのやりとりも好きな時間です。

4|自然体でいられる場所へ

――これから施設をどうしていきたいですか?

目指しているのは、心からくつろげる「安息の場所」です。

今の「ふれあい多居夢 大宮」の一番の魅力は、スタッフの仲がとても良いことだと思います。20代の若手から70代のベテランまで幅広い年齢層が働いていますが、お孫さんの話で盛り上がったり、他愛もない話で笑ったり、若手が先輩に悩みを相談したり。年齢や経験に関係なく自然に会話が生まれています。

とても信頼できるスタッフたちで、みんなが利用者さんのことを第一に考えて行動していると感じます。お互いを尊重し合える関係性が、施設の温かい雰囲気を作っているのではないでしょうか。

――最後に、求職者の方へメッセージをお願いします。

今はネットでたくさんの情報が手に入る時代ですが、やっぱり「自分の目で見ないとわからない」空気感というのが絶対にあると思っています。

転職活動をしていると、どうしても身構えてしまうかもしれません。でも見学してみて「自分には合わないな」と思っても、全然構わないんです。まずは気軽に、固くならずに来ていただけたら嬉しいです。利用者さんもスタッフも自然体で過ごしている雰囲気を、ぜひ一度肌で感じてみてください。

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