みんな、平等に歳を取る。自分は、どう歳を重ねていきたいか。

01|ホテルマンから介護の道へ

――介護の仕事を始める前は、どんなお仕事をされていたんですか?

静岡の田舎で育ち、実家は個人経営の電気屋でした。幼い頃から親の背中を見ながら育ったこともあり、お客さん商売は身近な存在だったんです。それが高校生になる頃には、「都会のホテルで働きたい」という憧れに変わっていきました。

上京してホテルに就職しましたが、配属はフロントではなく電話交換手でした。顔が見えない声だけの接客は想像以上に難しくて、言葉ひとつで大きなクレームにつながることもありました。毎日神経をすり減らしていましたね。
その後、結婚を機に退職し、しばらくは育児に専念しました。

――そこから、なぜ介護の仕事へ?

若い頃は都会への憧れや目の前の生活に夢中で、介護を自分の仕事として考えたことはありませんでした。介護の仕事は大変そうだし、休めなさそう。体力的にもきつそう…正直、当時の介護への印象はあまり良いものではなく「本当に自分に務まるのかな」という気持ちがありました。

ただ、子育てを経験する中で、「誰かの生活を支える」という部分では、育児と介護にはどこか通じるものがあるのかもしれないな、と感じるようになっていました。
そんな時、周りで訪問ヘルパーを始める知人が少しずつ増えてきたんです。「1日1件からでも始められるよ」「自分のペースで働けるよ」と聞いて、それならまずはやってみようかなと思ったのがきっかけです。

02|はじまりは「なんとなくできるかな」

――実際に、介護の仕事を始めてみてどうでしたか?

訪問ヘルパーとして始めた介護の仕事は、想像以上に大変でした。利用者さんのお宅に一人で伺い、限られた時間の中でケアを行います。中には、薬の影響で排泄の状態が大きく変化していて、想像していた以上に対応が難しい場面もありました。「これが介護の現場なんだ」と驚きながら、必死に向き合っていましたね。

それでも、ケアが終わった後に利用者さんがほっとした表情を見せてくださったり、「ありがとう」と声をかけてくださったりすると、不思議とまた頑張ろうと思えるんです。そうした経験を積み重ねる中で、介護の基礎や考え方の多くを学びました。

一方で、訪問介護は利用者さんの状況によって仕事量が大きく変わります。もっと経験を積みたい、もっと利用者さんと関わりたい。そんな思いから施設介護へと進みました。

—―訪問介護を経てふれあい多居夢を選んだ理由は何だったのでしょうか?

いくつかの施設を経験した後、2016年にふれあい多居夢へ入職しました。施設を選んだ理由は、正直に言うと「家から近かったから」です(笑)。

でも、見学の時に迎えてくださった施設長の自然な人柄が印象的で。いわゆる「バリバリのキャリアウーマン」ではなく、「気さくな普通の主婦」という雰囲気だったことに、すごく安心したのを覚えています。「ここなら自分らしく働けるかもしれない」と感じました。

03|怒鳴らない。急かさない。私が目指すチームのつくり方。

――管理者として、大切にしていることを教えてください。

介護の現場は忙しいです。目の前の業務に追われて、どうしても自分の仕事目線になってしまうことがあります。
けれど浦和のスタッフたちは、忙しい中でも利用者さんを急かさず、丁寧に声をかけることができる人が多いんです。転々としてきた中でいろんな現場を見てきましたが、素の部分で優しさを持っている人がここには集まっているなと感じています。

管理者として意識していることがあるとすれば、「感情的にならない」ということです。昔いた職場で、スタッフや利用者さんの前で怒鳴る上司を見たことがありました。その光景を見ていて、「自分は絶対にこういう関わり方はしない」と強く思ったんです。管理者になった今も、どんなにバタバタした日でも、ゆっくり一つひとつ対処するように決めています。

急変が起きた時の救急搬送への同行なども、できる限り私が対応するようにしています。現場のスタッフは日常の業務で手一杯ですから、何かあった時に動けるのが自分ならそうしようと決めています。

希望休についても、締め切り後に変更希望が生じた際はメモでレターケースに入れておいてくれるスタッフがいるんです。子どもの学校行事や家庭の事情もありますからね。開けた時には「どう調整しようかな」と頭を悩ませることもありますが(笑) 、できる限り叶えるようにやりくりしています。休みが取りづらいと、働くモチベーションって絶対に下がってしまうので。それはスタッフに限らず、自分自身もそうだなと思っています。

04|仕事も趣味も、自分らしく

――スタッフの皆さんがしっかり休めるように考えていらっしゃると思うのですが、ご自身はどんなふうにリフレッシュされているんですか?

休みの日の楽しみはサウナです。コロナ禍をきっかけに通い始めて、もう5年になります。熱いサウナと水風呂を繰り返し、外気浴でぼーっとしていると、本当に「つきものが落ちる」ような感覚になるんです。仕事の疲れも頭の中のごちゃごちゃも、全部流れていく気がして。気づけば丸一日過ごしていることもあります。

もうひとつの趣味がギターです。家で練習した曲を施設で弾き語りすると、利用者さんが懐かしそうに口ずさんでくださることがあります。認知症の方は、その時間を後から覚えていないかもしれません。でも、その瞬間に笑顔になっていただけたなら、それで十分なんです。いつか定年を迎えたら、ボランティアでいろいろな施設を回りながらギターを弾くのが夢です。

仕事も、趣味も、自分の健康も大切にする。そんな無理のない続け方が、自分には合っているのかもしれません。

――最後に、求職者の方へメッセージをお願いします。

人はみんな、平等に歳を取ります。老いていく利用者さんや、それを支えるご家族の姿を一番近くで見つめるこの仕事は、「自分はこれからどう歳を重ねていきたいか」を考えるきっかけにもなります。決してきれいごとだけではありません。でも、だからこそ得られるものがある。私はこの仕事を通して、そんなことを教えてもらいました。

昔の私のように、「なんとなくできるかな」という気持ちでも大丈夫。まずは気軽に、この場所の雰囲気を見に来ていただけたら嬉しいです。

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